2011年10月30日日曜日

黒い一ページ

大江健三郎の”個人的な体験”は一ページしか読まなかったが、あの一ページの中、この物語のテーマが見えそうです。鳥(バード)という主人公は生きているけど、まるで死んだ人みたいなんです。診療室の内部をのぞこむことでも、医者さんたちと話をかけることでも、いつでも存在感がない男として生きています。だから、彼の生きている感じがない人生はもう終わったらしいのだと思います。一ペイジだけの文なのに、漢字が多いだし、文句が長いだし、たくさんあらすじより主人公の感じをよく描きます。読む時には、鳥がいる世界の時間の方が、現実の時間よりもっと遅く過ごすかなと思っています。この作品のスタイルは陰みたいに読者の感情を抑えるかもしれません。


レイチェル ぺん

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